UNVについて
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貧困からの脱却に向けて
開発途上国における貧困問題は、1994年コペンハーゲンで開かれた国連社会開発サミットにおいても重要なテーマの一つとして取り上げられました。首都から遠く離れた僻地に入り、地域の貧しい人々とじかに接することが可能な国連ボランティアに、貧困問題に取り組む際に、地元に密着した活動が行えるという大きな利点があります。
この利点を活かし、各地の伝統的知識と資源とを無理なく活用することを通じて人々の自助努力を促進し、持続可能な開発をすすめることを基本方針としています。
国連ボランティアの活動は、地元の政府機関やNGOなどとの協力関係の下、まずは貧困の根本原因を模索することから始まります。そして問題の解決にあたり、限りある物資と人材とをいかに有効に用い、現地の住民たちを主体とした活動を進めてゆくかを考えます。地元の住民たちに直接の参加を促すことで一方的指導を避け、あくまで彼らの自立を確立するための手伝いをする、それが国連ボランティアの基本姿勢です。
こうした方針の下、貧困解決に向けた様々な試みが行われています。例えばブータン、インド、ネパールでは、竹や皮を用いた伝統工芸職人の所得向上を目指し、資金の運営からデザイン、素材に至るまで、国連ボランティアによる細かな支援活動が行われています。また、中央アフリカ共和国とブルキナファソ両国では、地元のNGOと協力しながら、急激に悪化する砂漠化現象、地下水の減少、農地の荒廃といった問題に取り組んでいます。中南米では、やはり地元NGOとの協力の下ストリートチルドレンの保護を目的として、児童買春、精神障害、麻薬中毒などへの取り組みが行われています。
先の社会開発サミットで宣言された目標に従い、小規模事業の奨励や雇用機会の創出、低所得層の社会進出の支援など、国連ボランティアは様々な分野で貧困問題解決のための活動を展開しています。
緊急人道援助と平和の構築のために
冷戦の終結後、各地で民族や宗教を理由とした紛争が頻発する中、緊急事態への対応と効果的開発協力との間には密接な関係があることが指摘されるようになってきました。紛争地域において安定した開発協力を軌道に乗せるには、その前提となる平和の確保、最低限度の生活の保障、民主的制度の確立といった条件を整える必要があります。こうした条件が整わないまま従来型の技術援助だけを単独で行っても、効果は期待できないことが過去の様々な経験からわかってきました。緊急人道援助に始まり、平和の回復と民主主義の確立、社会経済の復旧・再建という一連の活動が順調に達成されてこそ、持続可能な開発に向けた協力が可能になるのです。
こうした認識から、緊急事態のただ中にある人々への人道援助と、事態収拾後の復興作業、さらには平和や人権に関する市民教育などの分野で、UNVは近年積極的に国連ボランティアを派遣してきました。典型的な例が、国連ボランティアによる国連平和維持活動(PKO)への参加です。国連ボランティアによるPKOへの大規模な参加は、1992年から1993年のカンボジアが初めてで、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の要員として465人の国連ボランティアが、5万人のカンボジア人を選挙管理員として採用、訓練しました。成功を治めた選挙後も、国連ボランティアは引き続きプノンペンの国連人権センターと協力して人権擁護活動を続けています。
モザンビークやソマリア、旧ユーゴスラビア、ルワンダ等のPKOにも国連ボランティアが派遣され、兵士の動員解除と社会復帰、難民保護、人権監視や法制度の強化などの分野で貢献しました。
世界の各地で紛争や災害が頻発する現在、国連ボランティアによるこうした活動はますます重要性を増してきており、UNVでは、緊急人道援助、平和の構築、復興そして開発協力活動を相互に連関させるため、国連各機関やNGO、地域グループとの協力関係をさらに強化していきたいと考えています。
途上国の女性とともに
開発途上国の女性は、家事や育児だけでなく収入源としての仕事も担っている場合が多いため、社会の発展に非常に重要な役割を果たしています。しかし政治参加を通じた自己決定権を行使する機会が少ないため、自分たちの声を社会に反映させることが難しい状況にあります。1995年に中国の北京で開かれた第四回国連世界女性会議では、女性の地位向上と社会参加の促進を目指し、特に貧困、エイズ、小規模事業への取り組み、平和と人権、環境保全などの課題が議論されました。
こうした課題に取り組むため、多くの国連ボランティアが派遣されています。例えば中南米では、女性の経済的自立を支援するため、現地の伝統工芸品の製作・販売に対する協力活動を行っています。またボツワナで女性のためのNGOの設立を支援し、ボスニアで内戦の被害者にカウンセリングを行うなど、女性の政治参加と平和、人権擁護の活動にも国連ボランティアは積極的に参加してきました。
女性の支援活動に携わる国連ボランティアは、その多くが女性です。現在女性国連ボランティアはまだ全体の29%ですが、UNVはより多くの女性ボランティアの参加を期待しています。
UNVと環境保護
UNVは1971年に野生動物保護を目的としてアフリカのチャドに国連ボランティアを派遣して以来、自然保護、森林 保全、公衆衛生、廃棄物処理、エネルギー等の幅広い分野で活動を続けてきました。1986年からは国連環境計画(UNEP)と協力し、環境保護のための基金の運用や法律の整備といった分野にも活動範囲を広げてきました。
1992年にブラジルで開催された地球サミットにおいて、開発と環境保護について国際協力を進める行動計画「アジェンダ21」が採択されました。
「持続可能な開発」を目指して、環境問題に関連するUNVの活動はより活発になってきています。活動目的の一つは環境汚染を抑えて生活環境を改善する事です。その例としてインドでの井戸水の汚染防止や、イエメンでの遠隔地への水供給プログラム等があります。もう一つの目的は天然資源を適切に利用して持続可能な開発を進める事です。マリでの森林利用への住民参加プログラムや、ブラジルでの土地の侵食防止への技術協力等がこれまでに実施されました。
1995年に活動していた約3300人の国連ボランティアのうち、約10%が環境関連プロジェクトに従事しました。彼らは技術専門家として環境アセスメントやリモートセシング等の活動を行ったり、フィールドワーカーとして住民主導型の天然資源管理などを支援してきました。
どういった人が対象になるのかな?
UNVはロスターと呼ばれる独自の登録名簿を設けており、常時世界中から応募してくる候補者を登録・管理しています。そして現在このロスターには約4000人の専門家が国連ボランティア候補者として登録されています。
現地から国連ボランティアの派遣要請を受けると、UNVは要請内容とロスターとを照合して適切な候補者を選び、要請先に派遣するしくみになっています。
UNVの人材の大きな特徴として、専門分野における経験と職歴の長さがあげられます。ボランティアという言葉からは「若者」とか「素人」といったイメージが連想されがちですが、国連ボランティアの場合、平均年齢は40歳、職歴年数も特定の専門分野において平均10年となっており、経験豊かな専門家が集まっています。また、国連ボランティアのほぼ半数が大学卒業資格を持ち、残りの大半も各種の高等専門学校や職業訓練校を卒業し、中には修士号や博士号を取得している国連ボランティアもいます。
青年海外協力隊との関係は?
UNVは、日本の公的ボランティア派遣組織である青年海外協力隊事務局(JOCV)と積極的な協力関係を進めており、JOCVの推薦を受けた、経験豊かで優秀な元隊員を国連ボランティアとして登録・派遣してきました。
1988年にはUNVとJOCVとの間で公文書が取り交わされ、日本政府が派遣費用を全額負担することによって、より多くの元隊員が国連ボランティアとして派遣されるようになりました。1996年8月現在、派遣中の日本人国連ボランティア40名のうち21名が、また登録中の40名のうち15名が、それぞれ元JOCV隊員で占められています。
日本のNGOとの連携は?
人道援助と開発協力の分野では近年NGOの活躍がめざましく、世界各地で活動する国連ボランティアも、その多くがNGOとの協力関係の下に活動を進めています。UNVは日本のNGOとも協力関係を確立し、その活動を支援するため、NGOが行っている活動に国連ボランティアを派遣するプログラムを実施しています。現在UNVは、日本国際ボランティアセンター(JVC)、曹洞宗ボランティア会(SVA)、アジア医師連絡協議会(AMDA)などのNGOと、国連ボランティア派遣に関する協定を結んでいます。